最近は外国人に限らず日本人でも
歌手やタレントや俳優の名前を覚えられない。
昨日結婚を発表した清野菜名という女優さんは
倉本さんのTVドラマ「やすらぎの刻」の「しの」なので、
うちでは「しのがジャニーズと結婚するんだって」だった。
私はジャニーズに関して実に汗顔の至りの記憶がある。
あれは1994年か95年、
厚着していなかったから冬じゃなく、
日曜日か祭日の、いずれにしても休日の午後、
六本木のSDオーディション・イベントに向かうため
私は恵比寿から地下鉄日比谷線に乗った。
ふと向かい側に座っている少年2人に目が行った。
そのうちの1人、幼さの残るまだ小5か6か中1か、くらい。
その彼のあまりの可愛さに
二度見三度見しながら私は頭の中で色々なことを考えた。
(オーディション部の部長としてこんな子をみすみす見逃してはいけない)
(今日のオーディションに出たら歌わなくても通るだろう)
(六本木で降りずにこの子が降りる駅まで行くか、
(だけど変に話しかけたら怪しいオヤジに思われるかもしれない)
(あ~~どうしよう)
新人を発掘育成するSDといっても目的は歌手やバンドなので、
街でタレント・スカウトなんて真似は一度もやったことがないから
自分の名刺を手にドキドキしているうちに六本木に着いた。
そしたらなんと、2人が降りる。
テレ朝方向の出口に向かった。
その後を追いかけて階段登る。
突然、改札口で「キャー!」という女の子たちの歓声が起こった。
瞬間、私は理解した。
(やばっ!!ジャニーズJr.だ)
(うわ~、声かけなくて良かった~)
素知らぬ顔して混雑の横を通り過ぎた。
その数ヶ月後か、1年後か、もっと後だっただろうか、
テレビでその時の少年を見つけた。
忘れもしないその少年は「タッキー=滝沢秀明」だった。
ジャニーズJr.のメンバーをスカウトしようとした男、
なんて言われずに済んで良かったと胸をなでおろしたものだが
今思い出してもあの時のタッキーは
群衆の中にいても目立つほどに可愛く
まさに「栴檀は双葉より芳し」のオーラがあった。
後にも先にも本気で街なかで声をかけようとしたのはあの時の彼だけだ。
こんな感じだったんじゃないかと思う。
現在は ジャニーズ事務所の副社長として采配を振るっている滝沢秀明氏。
その地下鉄日比谷線以来お見かけしたことすらないが、
その時の記憶だけは今も残っている。