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Channel: レッツゴー!元日本洋楽研究会
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観劇「アニマの海」

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「アニメーション」の語源はラテン語の「アニマ」

それは「霊魂」の意味だそうで

動かない絵に命を与えて動かすことをいうのだとか、

NHKの広瀬すず主演の朝ドラで初めて知りました。

 

昨日の俳優座の文化座公演は「アニマの海」

 

 

ここでの「アニマの海」とは1950年代末の不知火海、

原作は石牟礼道子の「苦海浄土」 

 

 

そうなるともちろんテーマは「水俣病」です。

TVドラマ化も映画化もされにくいだろう

この重いテーマを文化座が舞台化したわけで。

 

普段から「No Fun,No Life」なんてほざいている

私みたいなエンタメの権化が選ぶはずのない演目です。

 

しかし、そこはなんたって佐々木愛の文化座ですよ。

画一的ないわゆるプロレタリア演劇とは一線を画します。

 

とにかく栗山民也の演出が素晴らしい!

 

誠実で平和な漁師一家に訪れる残酷な病が

その家の平凡な日常を明るく描くことで強調されます。

 

「一幕もの」と言ってもいいのかな。   

舞台を上中下の三段に分け

大仕掛けな演出や大道具を極限まで削ぎ落とし

出道具も基本は仏壇と食卓だけしかなくて。

決して派手にはしない「光」があえて言えばメインで

舞台は光と、影と、その中間の薄明かりと、

時折影絵劇のような演出を入れ込むというシンプルなもの。

海も堤防の先の音と空の光で表現していました。  

 

「苦しいぞ、こんな理不尽を許していいのか!」「おー!」

なんて叫ばれたりすると私は観るのがつらくなる方ですが

この人の押し付けがましくない軽く淡々とした美しい演出によって

そんなことはことさら主張されなくても伝わってきます。

 

終盤近くの桜の花びら、それも微かな花びら、

あれこそが「アニマ」だったのでしょう。

いやはや、見事!

エンタメ野中が手放しで絶賛です。

 

終わった後でご挨拶した佐々木愛さんは

開口一番「お互いに歳取ったわねえ」でした。 

 

確かに中3の私が成人式を迎えたばかりの愛さんに

初めてお会いしたのは55年前の1964年3月20日、

そりゃあ歳も取りました。

それでもこの歳になっても尚

こういう舞台を愛さんに見せつけられ

それでまた55年前と同じように感動してる私がいることが

自分としてはかなり満足しての家路でした。

 

昨日は満席でしたがもし観劇希望の方がいらしたら

23日まで六本木俳優座でやっています。

 

http://bunkaza.com/  

 

結局「表現」って、いくら動画が主流の時代でも

ライブに勝るものはないなと再認識した2019年6月18日です。

 

 

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