日本人の若い俳優さんの見分けがつかない。
名前に至ってはまったく覚えられないのに
我が家では向井理だけは「向井くん」と人気だ。
数年前のテレビのロケ番組に同行していた
いかにも高飛車で面倒くさそうな女性作家を
絶妙な対応で巧みにあしらっている彼を見て
(この子、大したもんだ)と感心して以来の向井ファンだ。
演技に対してじゃないところが申し訳ないが。
そんな彼が学生時代、
祖母の書いた手記をパソコンで打ち直し
家族と親戚で自費出版したことがあったという。
今回それが向井くん企画により映画化され
主演してると知り公開終了間際に観てきた。
「いつまた、君と~何日君再来」
南京~上海~愛媛~茨城~大阪と
戦中戦後の混乱期を生き抜いた祖父母。
夢と希望を持って中国に渡りながら
戦争と自身の健康のため困窮を極めた
向井くん演じる祖父と祖母の愛情物語。
これでもかこれでもかと家族に降りかかる
艱難辛苦のエピソードの数が多すぎ、
実話なのにまるで連続TVドラマみたいで
2時間の映画の流れとしてはメリハリに欠ける。
評価は<なんてもったいない映画>だったのだが
「自分の家族や親戚や先祖のことを少しでも振り返って
思い出すきっかっけになっていただけたらいいなと思います」
なんてコメントを優等生向井くんが出すものだから
演出のダメ出しとかすっかり忘れてしまい
(うん、そのとおり。君はたいしたもんだ)になってしまった。
高畑充希が歌う主題歌「何日君再来」がいい。
オリジナルは1937年だという。
https://www.youtube.com/watch?
実はこの映画を観に行こうとした伏線がもう一つあって、
私の父親が今から34年前の1983年に自費出版した
本というより100P程度のこの小冊子だった。
先月、実家の本棚にこれを見つけた。
偶然にも私と同じ69才ですべての職を退いた父が
人生の一つの区切りとしてまとめたようだ。
「オヤジ、このタイトルはダサいよ」と
今なら言えようが相談は受けていないから。
内容は、小樽時代の硬式庭球部の旧友のこと、
中国揚州での郭一家との交流、
金牛山付近での戦闘記録、
小栗上野介に関する研究メモ、
日中国交回復の日の感慨と私見、
小論文「地方の時代の地域産業のあり方」など。
郭家の娘で完璧な英語を話す「顕郷」と
北京語の若き父との間の淡く微妙な想いとか、
戦闘で戦死した中隊長の亡骸を探しに行ったら
共産軍が名入りで埋葬してくれていた話とか、
「へぇ~」と初めて知る事実が綴られている。
残念ながら映画化はできそうにないが
ファミリー・ツリーの一つの枝の記録として
我が家には残していかなければいけないと思う。
面白いエピソードはいつかここにも書くつもりだ。