あのイアン・ハンターが歌っているのに
まるで映画のスクリーンみたいに現実味がない。
イアン・ハンター、元モット・ザ・フープルのヴォーカリスト、
初来日の初演、1月16日下北沢Garden。
彼がステージに登場した時は、同じおやじ客たちから
「オーッ」の歓声よりもむしろため息が「ホーッ」っと漏れた。
誰もが(本当に来たんだ~)の想いだったに違いない。
70年代初頭、
入社して初めての担当がモット・ザ・フープルだった。
モットを担当をしていなければ
後のエアロやクラッシュの担当も来ない
私の人生は別のものになっていたかもしれない。
現役の時にはライブを観る機会がなかったので
自分がリタイアした翌年の2009年、
ロンドンで5日間だけ復活したライブを3日間観てきた。
そしてこのライブが
それはそれは素晴らしいパフォーマンスであったのだ
モットのロックンロールサーカスではない。
かつての「華麗なる煽動者」でもない。
寡黙で不器用な男はニヤリとはするものの
何と最後までMCをしない。
何と最後までMCをしない。
「ハロートーキョー、初めて日本に来れました」すらない。
ディラン派を隠さない。
アコギにカポタストにハーモニカ・ホルダーまでしちゃう。
語りかけるような愁いのしゃがれ声、伸びと張り、その声量、
そりゃ近づき過ぎればシワだらけさ、
そりゃ近づき過ぎればシワだらけさ、
だけどヴォーカリストとしちゃあ何ら変わっていない。
あり得ない。
あり得ない。
「Boy」なんかでは実際に泣きはしなかったけど
泣けるものなら感涙にむせびたい
そんな気持ちになるくらい、感動してしまったのだ。
そんな気持ちになるくらい、感動してしまったのだ。
陳腐な言い方なのだが夢のような至福の2時間だった。
その「Boy」を聴いてみよう。
今日と明日もライブはある。
特に今日なんて<Saturday Gig>じゃないか。
特に今日なんて<Saturday Gig>じゃないか。
There's a rockabilly party on Saturday night
Are you gonna be there?
(Roll Away The Stone)
(Roll Away The Stone)
Do you remember the Saturday gigs?
We do, we do.
(Saturday Gigs)
(Saturday Gigs)
日本洋楽研究会の名にかけて断言する、
ロックファンでこのライブを見逃すのは大きな損失だ。
イアン・ハンター75歳、あり得ない。