イギリス映画「カセットテープ・ダイアリーズ」試写会
(4月17日よりTOHOシネマズシャンテ他で公開)
予告編
https://www.youtube.com/watch?v=DmmHvnS0IKM
映画の原題は「Blinded By The Light」
ブルース・スプリングスティーンのデビューアルバム
「アズベリー・パークからの挨拶」(1973年)に
収められていた「光で目もくらみ」だ。
映画の内容をメチャクチャ簡単に言えば
「移民二世の少年が厳しい環境の中、ブルース・スプリングスティーンの音楽で救われる」
よくありそうなテーマだが実話に基づいたもので
この実在の少年は結局今までに150回以上もライブに通ってるそうで
最後にブルースと一緒に写っている写真なんかも出てくる。
1987年、舞台はロンドンの北の田舎町ルートン。
少年はそこで暮らす高校生、父親はパキスタンからの移民。
人種差別、貧しい家庭の中での父親との確執に悶々としていた時に
友人から薦められたブルースのカセットテープで世界が変わる。
時代背景としては「サッチャー政権」「リストラ」「移民への差別」
そして「ナショナルフロント」・・あれ?これ、最近どこかで見たぞ。
そう同じ2019年のイギリス製作で日本では同じ4月に公開になる「白い暴動」だ。
あっちは移民排斥に反対する運動「ロック・アゲインスト・レイシズム」の
ドキュメンタリー映画だったが。
もっと言うならばクイーンの映画「ボヘミアン・ラプソディ」の
フレディ・マーキュリー本名ファルーク・バルサラは
ペルシャ系インド人の移民の子だったから
彼がイギリスで体験した人種差別は今回の映画の主人公と重なるはずだ。
年表的には
「ボヘミアン・ラプソディ」→「白い暴動」→「カセットテープ・ダイアリーズ」
の順で「カセットテープ・・」は1987年のイギリスでの話となる。
イギリスBBCの朝の番組でアメリカ大統領の人種差別を批判して
同局の指針違反にされたパキスタン系の女性の司会者がいた。
あれって、去年、2019年のことだ。
いつまで経ってもイギリスには強く人種差別は残ってるんだなあと、
もしかしたら王室のあの話もか?とか
日本も労働者不足を移民に頼ったら
同じような文化の衝突は起きてくるだろうな、とか、
こんなことばかりこのところ書いているけれど、
それはそれとして
この映画「カセットテープ・ダイアリーズ」は
スプリングスティーンの音楽は効果的にふんだんに使われているし
青春映画に必須な友情、恋愛、家族愛など仕上がりはとても楽しい。
大昔の「フットルース」みたいだ(隣でKくのさんが観ていたせいもある)。
楽しすぎて、もしこれが完全なフィクションだったら
(なんと楽観的な映画)と思いそうなところ、実話だから救われる。
音楽は個人ならば救えるし変えられるってことかもしれない。
それでもやっぱり私は思うのですよ。
イギリスに住んでいて「パキ帰れ!」とか言われ、
家族がナショナルフロントにボコられ、
それなのにクラッシュやトム・ロビンソンじゃなく
ブルース・スプリングスティーンに行ったのが、
うーむ、わからん。
まあいいや、今日はこれにしましょうかね。
ブルース・スプリングスティーン
2009年のロンドン・ハイドパークでのライブ。
オープニング・ナンバーにしたのは「ロンドン・コーリング」 だった。
この観客の中にパキスタン人のあの元少年もいたことだろう。
https://www.youtube.com/watch?v=9o_YqNN4cDQ
最後に。
ブルース・スプリングスティーンを知らずに観る若い人に
この映画は恰好のプロモーションになると思う。