世界初の旅行代理店トーマス・クックが破産したとか。
https://www.bbc.com/japanese/49792020
ニュースを見ていてトーマス・クックの
T/C(トラベラーズ・チェック)なるものを思い出しました。
こういうのでした、覚えてますかね。
70年代の海外出張にはいつもこれを持たされました。
最初に上にサインをしておいて支払い時に下にサインするというもので
キャッシュを持ち歩く危険がないし便利は便利なんだけど
外国人が使ってるアメックスのカードの方がかっこいいなと。
カード精算になったのは80年代になってからと思います。
そんなT/C時代の一番の思い出は、
今年7月に書いた水上はる子さんとのエアロスミス同行取材です。
そのあたりをもう少し詳しく述べてみます。
水上さんは1974年から1978年までミュージック・ライフの編集長でした。
その取材がいつだったか記憶にないのですが
水上編集長自らLAまで出むくのは珍しいことだったので
会社としては最高のホスピタリティを用意しました。
ホテルは「ビバリーヒルズ・ホテル」
(当時の流行りで、その頃から敷居は高かったです)
旅行代理店のソニートラベル(だったと思います)が
ホテルの予約の確認書(バウチャーみたいなものだったかも)に
私たちのことを「ソニーのディレクター+1」と書いたみたいで。
一般的にディレクター(Directer)は会社の役員を意味します。
確かに私は「CBSソニーの洋楽ディレクター」でしたが
「ソニーのディレクター」じゃありません。
でもそれを出してチェック・インします。
そうしたら奥からマネージャーみたいな人が出てきて
横のソファに案内されこう言われたのです。
「ようこそビバリー・ヒルズ・ホテルへ、Mr Nonaka。2泊ですね。
秘書の方とは別のフロアになりますがよろしいですか?」
(秘書!?)
隣の水上さんが「私は野中さんの秘書なの?」と言うのを無視して
彼に「No Problem」と答え、水上さんに「方便です、方便」と私。
(きっと部屋は私の方が良かったんでしょう)
次にマネージャーの彼が言いました。
「チェック・アウトはクレジット・カードでお部屋でできます」
でも(カードなんてないぞ)の私は(T/Cでもいいですか?)と聞けなくて
「OK,Thank you」と言ってしまったわけです。
さすがにソニーの役員でカードのない人なんていないでしょうから。
さて取材を終えて2日後のチェックアウトです。
普通に精算のカウンターに並んで T/C に何枚もサインしていたら
くだんの彼に見つかってしまいます。
「おはようございます、Mr.Nonaka、リモはよろしいですか?」
「No Thank you」
空港に向かうタクシーの中で
「我々、偽物VIPだってバレてますよね」と2人で笑ったものでした。
この時期をまったく覚えていないんですよ。
でも水上さんに直々の出馬をお願いしたということは
よほどエアロスミスに危機を感じていたはずなので
アルバム「ドロー・ザ・ライン」の発売に近い
1977年11月じゃなかったかと思います。
本当に危機でした、このアルバム。
「ドロー・ザ・ライン」エアロスミス(1977年)