アカデミー賞作品賞映画「グリーンブック」
実話に基づく映画。
イタリア人の用心棒と黒人の天才ピアニストが
人種差別の根強い1962年のアメリカ南部をツアーする。
トラブルが起こらない方がおかしい。
それでもシリアスに人種差別を扱った作品が多い中で
この映画は厳しいシーンもありながら和むというか
笑いもあって観終わった後の心地が良い。
コメディとまでは言えなくてもほのぼのとしているから
「珍道中」とは言ってもいいかもしれない。
ネタバレになるので余り書けないけれど
2人がアメリカ国内において微妙な立ち位置にいることが
ストーリーを複雑に面白くしている。
主人公は博士号を持ち教養もある裕福な黒人天才ピアニスト、
カーネギーホールの上に住み世界中を飛び回り
ホワイトハウスでケネディの前で演奏もする名士。
運転手はブロンクスに大家族で住む人種差別主義者で
ナイトクラブの用心棒を失業しどうやらマフィアと関係ある。
ピアニストは自分のことを「白人でもなく黒人でもない」と思っているし
用心棒は自分の方こそ「黒人的だ」と思っている。
キーワードはこの2人の会話に出てくる「Dignity(=尊厳)」だ。
とにかく手放しで、面白い!
アカデミー賞は作品賞の他の脚本賞も、
ピアニスト役マハーシャラ・アリの助演男優賞も当然で、
主演男優賞もラミ・マレックではなく用心棒役だった
ヴィゴ・モーテンセンの方がふさわしいだろう。
帰る時にシネコンの上映映画の表示を見ると
奇しくも「グリーンブック」と「翔んで埼玉」の2本に
「完売」の文字が付いていた。
映画館がアニメの子供客以外で完売になるのは喜ばしいが
私にとってはこの2本は比ぶべくもない。
2人の最後の公演地はアラバマ州バーミンガム。
そこで6年前の1956年にナット・キング・コールが公演中襲撃された
その事件のことが語られていた。
なので今日は1956年の彼のアルバム「恋こそはすべて」から
「スターダスト」ナット・キング・コール(1956年)