原作は1934年出版というから80年以上も前の
誰でも知ってる推理小説なので
とりたてて目新しさはなく
映像と俳優で観るエンタテインメント映画、
日本で言えばさしずめ子供の頃に観た
お正月映画の「赤穂浪士」みたいなもんだ。
映画「オリエント急行殺人事件」
http://www.foxmovies-jp.com/
豪華な俳優陣以上にセットや美術がいい。
そこそこに映像を楽しんで帰った。
もともと「オリエント急行殺人事件」は
<善と悪>がテーマの宗教臭さはあるんだけど
今回のは今まで以上に<神>の意識が強い。
冒頭はエルサレムの嘆きの壁の前に連れ出された
ラビ、神父、イマームという、それぞれ
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の指導者の容疑を
ポアロが見事に晴らすシーンから始まる。
列車の事件を上空から俯瞰するカメラは神の視線だろうし
容疑者を並べての謎解きはまるで最後の晩餐だ。
遂には最後にポアロが「だませない2人がいる。
1人は神、そしてもう1人はこのエルキュール・ポアロだ」
みたいなセリフを吐いていたように思う。
オリエント急行への憧れだけで観に行った私には
その辺の押し付けが少々鼻につく面倒くさい印象もあるが
まあ映像を見るだけでも1100円の価値はあるか。
イスタンブール発カレー経由ロンドンまでの予定の
オリエント急行がクロアチアの東の方の
ヴィンコヴチとブロッドの間で大雪に閉じ込められ
殺人事件が起きるわけだけれど
セルビア、モンテネグロ、ボスニアヘルツェゴビナとか
このあたりの国の位置関係が私にはよくわからない。
でもわからないなりにこうして地図をたどるのも楽しい。
行けるものならやっぱ行きてー。
曲はエンドロールで流れたミシェル・ファイファーのこれ。
この曲が流れるまだ暗い館内を帰ろうとした客が
階段でつまづいてた。
だからエンドロールが終わるまで待てって。
「ネバー・フォゲット」ミシェル・ファイファー