<下高井戸シネマ>
ヨーロッパ映画も多くチョイスされるが
ミニシアター系でも名画座系でもなく
ル・シネマみたいなお上品系でもない。
見逃していた映画が巡業のようにやってくる
いわゆる二番館として重宝している。
昨日はフランスで100万人を動員したという映画
「愛しき人生のつくりかた」
「愛しき人生のつくりかた」
原題はシンプルに「Les Souvenirs」
「お土産」の他に「想い出」の意味もあるようで
邦題を考えるとしたらそっち路線じゃないのかな。
劇中に流れるシャルル・トレネの「残されし恋には」(1942年)にも
(Les Souvenirs)って聞こえる歌詞があるからきっとそうだよ。
パリのある家族三世代のお話。
じいちゃんが亡くなったところから物語は始まる。
じいちゃんが亡くなったところから物語は始まる。
残された90才に近いばあちゃんは一人暮らしが危険だからと
息子に老人ホームに入れられるが、ある日忽然と姿を消す。
ばあちゃんを唯一理解していた大学生の孫が
ばあちゃんの故郷であるノルマンディに探しに向かう。
この<ばあちゃんと孫>の二人の主役に挟まれた
息子である父ちゃんがいい味出してる。
いい父ちゃんなんだけど、じゃいちゃんの死と同時期に
郵便局の定年を迎えて経済的に苦しくなった。
母であるばあちゃんにはそれほど好かれておらず
2人の弟はばあちゃんに関しては口だけで何もしない。
長年連れ添った母ちゃんからは熟年離婚をほのめかされ
踏んだり蹴ったりの状況にいる。
今世界中にこういう団塊世代は多いはずだ。
重くなりそうなテーマを軽くコメディタッチで演出する
いかにもフランスって感じのエスプリの効いた、まあ小品。
1年終わってみればベスト10には入らないだろう。
コメディタッチなだけでモロのコメディじゃないんだから
ガハガハ笑う映画じゃないのに
私の前に座ってたご婦人がクックッと笑いながら体をゆする。
しかも(ここは笑うとこじゃないぞ!)って場面でクック言うもんで
すっかりイライラして席を移った。
終わってその人を見たら
まさに主役のばあちゃんと同じくらいお年を召した方で
足が悪いらしく杖で一歩一歩階段を下りて帰って行った。
あの女性は笑っていたのではなくて感動していたか
もしかしたら泣いていたんじゃないかと思ったら
さっきまで後ろでイラついていた自分が申し訳なくて
しょんぼり帰った下高井戸シネマでありました。