「日本洋楽研究会」とか称しながら
<日本洋楽の歴史>にあまりにも無知だった己を知り
<黒船来航からひばり絶唱まで>のコピーの下、
日本のレコード産業がどう誕生し第二次大戦を挟んで
どういう経緯を辿り現代につながっているか、
会社間のヒット曲競争や引き抜き合戦、M&A、
海外レーベルとの契約、他業種との関係など
めまぐるしく変化する世相をからめながら淡々と描く。
日本レコード産業の歴史は最古のレコード会社である
日本コロムビアの前身の「日本蓄音機商会」が
1910年(明治43年)に設立されて以来わずか100年にすぎない。
それなのにこの本の3分の2を占める戦前の出来事を
私はほとんど知らなかった。
目からウロコだったのは
レコード会社って最初は外資だったという事実だ。
え~~~レコード業界って戦前は外資だったの?
日本コロムビアに至っては三代目まで外国人社長だった。
こんなもんで私はよく40年近く業界にいられたものだ。
いやしくも1レーベルの代表であったり
リタイア後に大学で講義したりしてた私が
歴史好きなんて言いながら自分の足元の歴史すら知らず
その視野の狭さには恥ずかしくて穴があったら入りたい心境。
その視野の狭さには恥ずかしくて穴があったら入りたい心境。
すみません!みたいな。
ふぅ~。
大正になるまで「流行唄(はやりうた)」という呼び方はなくて
「新民謡」と呼ばれていたとか
開戦直前の外資が全部引き揚げた後の
日本コロムビアの市場シェアは60%だったとか
電機メーカーや日産や官僚や政治家、駐留軍の果たした功罪
コロムビアとビクターにテイチクがからんだ熾烈な戦い、
新興勢力の登場や海外のレーベルの栄枯盛衰、
ハラハラするような人間模様、ドロドロな怨恨関係もあって
淡々と書いているのにドラマチックな歴史書になっている。
この本は2年前の2012年に発行されている。
著者の飯田恆雄という方は日本コロムビアの
プロデューサーだった人で
日本コロムビアの社史が柱になっている。
日本コロムビアの社史が柱になっている。
ここを見ると歴史はわかるが読み物としては弱い↓
ヤクルトの応援歌の「東京音頭」
踊り踊るならチョイと東京音頭~♪ ってあれだ。
1933年(昭和8年)にヒットしたこの歌のクレジットには
≪「丸の内音頭」の替え歌≫とあったそうだ。
何故ならこの歌は日劇前のガード下の小料理屋の主人
井上忠次郎が日本ビクターに持ち込んだ企画だったからだ。
なのでその店にはビクターから贈られた
<東京音頭創作者・井上忠次郎氏に贈る>と刻まれた
金メダルがあったという。
その孫がブルー・コメッツの井上忠夫だというから面白い。
3200円と高い本はソニーの大竹ケンさんから頂いた。
謝。
3200円と高い本はソニーの大竹ケンさんから頂いた。
謝。