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Channel: レッツゴー!元日本洋楽研究会
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「大菩薩峠」断念

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時間に余裕ある人間だけができる愉しみとして
私の今年の密かな目標だった
小説「大菩薩峠」全41巻の読破は
志半ばの21巻にて遂にギブアップした。

有名なわりにみんな映画で知っているだけで
(連合赤軍?なんて的外れを言うヤツもいたり)
小説そのものを読んだ人が周りにいないから
やってやろうと思ったのだが
面白くないという意味じゃなく「暗さ」に耐えられなかった。

作者は中里介山
大正2年から30年間の新聞連載小説にして未完。


時代は幕末。
主人公の机竜之介はニヒルで虚無的(同じか)
老若男女かまわず殺戮を繰り返す。
その残虐、非道、冷酷さにおいては
眠狂四郎なんてもんじゃない。

濃いキャラの30人以上はいる登場人物の全員が
因縁でがんじがらめの世界にいる。
甲州街道だったり、旅籠の隣の部屋だったり、
江戸の橋の上の辻斬りだったりで知り合いが出くわす。
「ありえねー」と思う偶然の連続でも、
そこはホレ、小説の世界だからまだいい。

暗い歌や小説自体は嫌いじゃないんだけど
机竜之介の陰鬱さには全くシンパシーを感じることができない。
いくら市川雷蔵が綺麗でも耐えられない。

その中の、伊勢に代々実在していた「お杉・お玉」という
女性デュオ芸人がモデルの「お君」が唯一魅力的なキャラ。
彼女が歌う「間の山節(あいのやまぶし)」これだけが良かった。
間の山とは伊勢の内宮と外宮の間の尾部坂のこと
詞も中里の創作ではなく実際歌われていたものだという。

我に涙を添へよとや、ゆふべあしたの鐘の声、

寂滅為楽と響けども、聞いて驚く人もなし、

花は散りても春はさく、鳥は古巣へ帰れども、行きて帰らぬ死出の旅

野辺より彼方の友とては、金剛界の曼陀羅と、胎臓界の曼陀羅に、

血脈一つに数珠一連、これが冥途の友ぞかし。


この世界観が主題に近いと思われる。

思想的に意識してなのか、差別用語のオンパレード。
「です、ます」文体なのも、私には不自然でNG。
誰か読み終えた人がいたら一献傾けながら感想を聞いてみたい。

今日は伊勢市に台風が上陸とTVが言っている。


 ◆大菩薩峠(全41巻) 


01 甲源一刀流の巻 

02 鈴鹿山の巻 
03 壬生と島原の巻 
04 三輪の神杉の巻 
05 龍神の巻 
06 間の山の巻 
07 東海道の巻 
08 白根山の巻 
09 女子と小人の巻 
10 市中騒動の巻 
11 駒井能登守の巻 
12 伯耆の安綱の巻 
13 如法闇夜の巻 
14 お銀様の巻 
15 慢心和尚の巻 
16 道庵と鯔八の巻 
17 黒業白業の巻 
18 安房の国の巻 
19 小名路の巻 
20 禹門三級の巻 
21 無明の巻 

22 白骨の巻 
23 他生の巻 
24 流転の巻 
25 みちりやの巻 
26 めいろの巻 
27 鈴慕の巻 
28 Oceanの巻 
29 年魚市の巻 
30 畜生谷の巻 
31 勿来の巻 
32 弁信の巻 
33 不破の関の巻 
34 白雲の巻 
35 胆吹の巻 
36 新月の巻 
37 恐山の巻 
38 農奴の巻 
39 京の夢おう坂の夢の巻 
40 山科の巻 
41 椰子林の巻
(未完)

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