田舎出身で学生時代も新宿ばかりだった私に
六本木の会社の毎日は別世界にいるように思えた。
60年代後半の六本木はスノッブな人たちが多かった。
60年代後半の六本木はスノッブな人たちが多かった。
柳生さんが近くの「In And Out」のシャツを着ていたので
こっそり見に行きあまりの高さにひっくり返った。
それでもボーナスが出ると意を決して「パンツショップ」で
オレンジ色のパンタロンを買ったりもした。
ファストフードなのに「ハンバーガーイン」もオシャレだった。
それがバブルの頃からだんだん街の空気が変わって行って
キャバクラと外国人の客引きばかりになって
ヒルズやドンキができたあたりから足が遠のき
最近ではほとんど行かない街になった。
久しぶりにそれも昼間に行った。
<アジアのどこかの国のどこかの繁華街の朝>だった。
キャバクラばかりだったビルに各国のレストランやバーが入り、
住人のいる生活の雰囲気もあった。
10年くらい前よりはずっと観光地っぽくなってた。
10年くらい前よりはずっと観光地っぽくなってた。
六本木ヒルズに向かった。
道に迷うお上りさんに戻っていた。
待ち合わせの居酒屋のランチは
(ヒルズ値段)と思って食べた。
決してうまくはなくて残してしまった。
コストパフォーマンス悪し、だった。
それでも店内は満員で外に行列ができていた。
私たちはその昔、六本木のことを<ぽつろんぎ>と言っていた
でも世間では鼠先輩以来<ぎろっぽん>と呼ぶらしい。
前を闊歩するモデルみたいに足の長い女の子を見ながら
<どちらにしてもこの街は違う>と確信した。