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「サンディニスタ」の英雄は独裁者

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クリスマス・イブにはふさわしくない話題とは思いつつ、

一昨日のジョー命日に関連して「サンディニスタ」の話を。

 

「サンディニスタ」と聞いても

なんのことかわからない人が多いだろうが

クラッシュ・ファンならば誰でもすぐにこれを思う。

 


「サンディニスタ」とは1979年にニカラグアで親米独裁政権を打倒し

革命を成功させた民族解放戦線の名称で、後に政党名になる。

 

 

この赤と黒の「サンディニスタ」を革命の翌年の1980年に

ザ・クラッシュは自分たちのアルバムのタイトルにした、、

までは語れても「ニカラグア」という国名はすぐには出てこないし

その国が中米のどこにあるかを地図で指差すのも相当難しい。

 

 

このニカラグアが最近のネットニュースにたびたび登場している。

でもそれは必ずしも喜ばしい感じのものではなく

<オルテガ大統領の独裁>に関する記事がほとんどだ。

ダニエル・オルテガ大統領は

革命を成功させたサンディニスタ民族解放戦線の指導者だった。

そんな英雄が、伝えられているニュースをそのまま信じるならば

<独裁政権を倒した男が独裁政治を敷いている>のだ。

弟や奥さんを政府の重要ポストに据えて政敵をどんどん逮捕し、

憲法を勝手に変えて今年11月の大統領選で5選目を果たした。

 

(大統領と副大統領である自分の奥さん)

 

民衆のために武器を持って立ち上がったはずの男が

権力を手にするとこうなってしまうのかという典型的な例で、

似たような話は中央アジアや東ヨーロッパの国に今も昔もいっぱいある。

最近報道されることの多いベラルーシの独裁者

ルカシェンコ大統領だって最初は汚職を糾弾する正義の味方だった。

 

 

サンディニスタも革命成功直後は、

「民主化して全世界の国々と良好な外交関係をめざす」と

発表していたからアメリカも祝福していたし、

クラッシュにも1980年の頃の新しいニカラグアは

理想の国のように見えていたかもしれない。

 

でも復興がままならないまま

東西の狭間でソ連やキューバなどから援助を受け

それを捉えたアメリカのレーガン政権が援助を打ち切り経済制裁し、

遂にはCIAにニカラグアの反政府勢力をまとめさせ内戦にまで持ち込んだ

戦闘が終わったのは革命から10年後の1989年だった。

 

オルテガは1985年から1990年まで大統領をつとめたが

1990年の総選挙でサンディニスタ党は敗北し野に下る。

その痛い反省からか、2006年の大統領選挙で再選され復活すると

そこからオルテガ大統領のやりたい放題したい放題。

強烈な独裁が始まって今日に至る。

クラッシュが3枚組アルバム「サンディニスタ」に込めた理想とは

まったくかけ離れた政治体制になっている。

もしジョーが生きていたら今のニカラグアとサンディニスタと

オルテガ大統領についてどうコメントするだろう。

 

★オルテガ大統領の独裁を懸念する記事(2021年6月28日)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN22ES30S1A620C2000000/

 

★大統領選で5選されたオルテガを各国が非難(2021年11月9日)

https://www.jiji.com/jc/article?k=2021110900227&g=int

 

一番最近見た記事はこれだった。

★ニカラグア、台湾と国交を断絶(2021年12月21日)

そっか、中国が只今強力にオルテガに接近中なのか。

https://toyokeizai.net/articles/-/477844

 

今日はアルバム「サンディニスタ」から

「叛乱ワルツ」ザ・クラッシュ

 

https://www.youtube.com/watch?v=ytVyrv11LJY


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