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Channel: レッツゴー!元日本洋楽研究会
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ミーハー魂と洋楽黄金期

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Music Lifeの元編集長の東郷かおる子さんと私は同じ団塊の世代で、

生まれも同じ1948年だ。

立場と会社は違っても二人は1970年代と80年代の

「洋楽ロック黄金時代」を心ゆくまで堪能し、同じ1990年、

私は洋楽を離れ、東郷さんはMusic Lifeのシンコーを退職した。

 

音楽専門誌とレコード会社という関係は

イメージされるほど癒着ベッタリではなくて、

退職してからイベントや番組収録や飲み会などで話すうちに

過ごした時代が同じこともあり旧くからの戦友のように親しくなった。

 

 

二人に共通するのは東郷さんがよく言葉にする「ミーハー魂」だ。

東郷さんの本のタイトルも「ミーハーは素敵な合言葉」

 

 

そもそも「ミーハー」ってなんなの?から言うと、広辞苑には

「世の中の流行にかぶれやすいこと。また、そのような人」

とあるくらいで、他を調べても同義語としては、

「新しもの好き、流行かぶれ、西洋かぶれ」など

果ては「お調子者」「軽薄」なんてのまである。

反対語、対義語は「真人間、クール、一途」などがあるから

つまり「ミーハー」は褒め言葉として使われることはないようだ。

そう言われてみれば私は「新しもの好き」で「お調子者」で「軽薄」で

「西洋かぶれ」だったかもしれない。

 

褒められなくてもいいや。

 

個人的に「ミーハー」を持ち上げるとすれば

資質として他人よりも感受性、好奇心が強く、行動力があり、

楽しいと思える興味の対象を直感のアンテナで感じ取れる人、ではないかと。

それは人の人生を決めることもあり時に世の中を動かしたりもする。

 

ただこだわって書いておかなければいけないのは

「にわかファン」と「ミーハー」との違いだ。

前から興味があったわけでもないのに

世の中で流行ってる出来事やファッションや人気者を追いかけるように

「にわかに」熱中して乗る一群は逆に世の中の上っ面に流され

すぐに飽きていなくなる傾向がある。

「ミーハー」は広い視野で早く「見つけ」「かぶれ」「流行らせる」

今でいう「インフルエンサー」の地点の入り口に立っていることが多い。

そこからスタートして深く掘り下げる人も多くいる。

 

東郷さんだけでなく、星加ルミ子さんも湯川れい子さんも

インタビューや講演で自分を表現するのに

必ずこの「ミーハー」という単語を使うから

特に黄金期のポピュラーファンにその傾向が強かったのかもしれない。

 

 

東郷さんが「ミーハー魂」について語っている。

 

「ロックとともに駆け抜けた喧噪の日々を振り返ると、

私はただただ、ラッキーだったなと思います。

もしツキを呼び寄せたものがあるとすれば、それはミーハー魂。

時にはバカにされることもあるそれを、私は隠さずに生きてきました」

 

「もっと自分の人生を面白がりたい。

そのとき、ときめくものがあることは生きる力になると思う...

いつの時代も世の中の事象をつくってきたのは女性のミーハー心ですから」

 

この意見に100%賛同する、が、

「女性のミーハー心」は逆差別じゃないかしら、東郷さん。

かつてそういう歴史があったというのは理解しても

ミーハーは女性だけのものではない。

私だって圧倒的に「ミーハー」だったんだから。

クイーン、ジャパン、デュラン・デュラン、ボン・ジョヴィなんて

他社のアーティストなのにファンとしてグラビアから活版ページまでよく読んでた

自分の担当で言えばエアロスミス、チープトリック、アダム&ジ・アンツ、

ポイズンなんかはMusic Life向きと最初から決めて臨んでいた。

 

ただ、唯一ザ・クラッシュだけはMusic Lifeに売り込むことはしなかった。

MLの読者の人に人気者にしてもらおう、広げようという気持ちはハナからなく

自分と一部の人たちだけの「抱え込み」作戦を取った。

それでも今思えばそのクラッシュですら私のミーハーの価値観に入っていた。

私にとって「Fab Four」はビートルズではなくてザ・クラッシュなのに

そのカッコよさはMusic Lifeが求めるカッコよさにそぐわないと思っていた。

それはその通りで、今でも東郷さんとの会話で唯一噛み合わないのは

「ザ・クラッシュ」なのだ。

ここに男女の差があるのかも?わからない。

 

今日はベタでいこう。

「リフレックス」デュラン・デュラン(1984年)

 

 

https://www.youtube.com/watch?v=J5ebkj9x5Ko

 

東郷さんの笑えるエピソードがある。

 

「入社日に星加さんにサインを貰いに行ってセンムに怒られたのよ。

だって、星加さんは私の憧れだったから」

 

めちゃくちゃよく分かる!

ミーハーというのは資質なので学べるものではない。

私も幼い頃からそういう傾向にあったのが

同じような東郷さんとの出会いによって

それが仕事に生きたということと思う。

出会いがラッキーだった、ということだろう。

 


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