今年のNHK大河ドラマの主人公は明智光秀で、
来年は渋沢栄一で、再来年は北条義時だという。
北条義時とは鎌倉の二代目執権。
驚きの人選。知ってますかねえ。
いや~、選ぶなら同じ北条でも後北条の北条氏康の方が
順番としては先じゃないかと思う私だ。
ということで、ちょうど読み終えた本が
「北条氏康 関東に王道楽土を築いた男」
作者は一昨年から私が凝ってる伊藤潤
そもそも北条氏関連の小説が少ない中、伊東潤は多くを書いていて
これはその中でも代表作の一つ。
北条氏康=小田原の後北条氏の3代目。
こんな内容・・・
江戸の泰平の礎を築いたともいえる理想的内政。
河越合戦はじめ数々の華々しい合戦はもちろん、
「祿壽應穩」「四公六民」といった北条氏の領地統治策にいたるまでを詳述。
戦や飢饉によって荒れ果てていた関東の地を、北条氏康がいかに平定し、
「王道楽土」を築き上げていったか。その過程が本書で鮮やかに蘇る。
戦国屈指の名将の素顔を生き生きと描き出す意欲作!
とにかくカッコいいのよ。
カッコいいのに戦国武将の中ではわりと無名。
「河越城の戦い=河越夜戦」は聞いたことくらいあるでしょう。
河越とは埼玉県川越市、その川越での戦い。
何しろ8千人で8万人を破った奇襲作戦なんだから!
こういう話大好き。
信長の桶狭間、毛利元就の厳島合戦、義経のひよどり越えと
同じくらいトンデモなのに意外と知られていない。
「川越は小江戸で素敵」なんて言ってる場合じゃない、
河越夜戦の現場なのだ。
北条氏康って戦だけじゃなく内政も外交も激しく優れた武将だったのに、
信長、秀吉、家康、謙信、信玄などと比べるとそこまで人気がないのは
一つには日本の中心である京都をめざさずに関東を治めようとしたこと、
もう一つは北条家最後になった孫のやられ方が「小田原評定」とか
ダサかったからじゃないかと私は思っている。
それとなかなか小説になりにくかった理由は
当時の関東の状況が鎌倉公方だ、古河公方だ、堀越公方だ、小弓公方だ、
関東管領だとぐしゃぐしゃでわかりにくいからかもしれない。
例えば関東管領「扇谷上杉」って「おうぎがやつうえすぎ」と読むが
普通は読めない(ちなみにそこの家宰が江戸城にいた太田道灌)
でもそれを一気に整理したのが北条氏康だったわけですな。
「河越夜戦」というのはオール関東8万人の兵による北条包囲網で
そいつらを河越で一気にやっつけたことで関東は北条になった。
川越市の河越城は北条の拠点だったし
東西線の葛西城や市川の江戸川沿い国府台城も重要だった。
コロナが終わったら行ってみたい。
そうそう、東京に城がいくつあるか知ってますかね。
23区内に100、東京都だと200もあるそうです。
関東に東海を加えると一体いくつあるかわかりません。
そういう城を上杉謙信、武田信玄、今川義元なんかと
取ったり取られたりしながらも負けることなく
結局秀吉が来るまでの関東に太平の基礎を築いたのが北条氏康で、
家康は北条氏のやりようをそのまま受け継いだのだというから
やっぱ大河ドラマはこの人がいいわ。
と言っても再来年の大河ドラマの主人公は北条義時で、演じるは小栗旬。
脚本の三谷幸喜が「新選組!」にならないことを願いたい。
次は「北条氏照 秀吉に挑んだ義将」伊藤潤を
読むつもりでいる。タイトルがいいよなあ。
今日は活字を離れて溜め込んだ録画を観ることにしよう。