映画「マダム・フローレンス!夢見るふたり」
ソプラノ歌手になりたかった
フローレンス・フォスター・ジェンキンスという
大金持ちの音痴のお婆さんが
仲間うちの発表会だけでは飽き足らずレコードも出し
遂には76才でNYカーネギーホールに立つという実話。
メリル・ストリープとヒュー・グラントの豪華共演。
とにかくメリル・ストリープの圧倒的な演技、
音痴を完璧に(?)上手に切なく演じる
もうそこに尽きると言ってもいいくらいの映画だ。
それと弱気な伴奏ピアニスト役の
サイモン・ヘルバークという俳優もいい味出してる。
微妙に泣かせてくれた「あなたを抱きしめる日まで」の監督が、
コメディ仕立ての中に夫婦間の愛情や本人の病気のエピソードを入れ
観客をホロリとさせちゃうお得意のテクニックを駆使はしているが、
ひとことで言えば
<裸の王様がカーネギーのステージで歌いました>映画なので、
いくら演出しても私にはまったく刺さらない。
「夢見るふたり」の「夢」はカネと力がなきゃ実現できない。
しかもそのカネは親の遺産。
でもいくらカネと力があっても
自分が歌手になろうとする人は少ないだろうに
実際に歌手になっちゃう、そこは凄いかもしれない。
(馬術の競技には出られるってか?)
映画の素材として面白いのか、同じ人物を題材にした
フランス映画「偉大なるマルグリット」も今年公開されている
(私は観ていない)
そのフローレンスがカーネギーホールで歌ったのは
1944年10月25日。
太平洋戦争も終盤、サイパン、グアムが陥ち
レイテ沖海戦で日本の空母が全滅した時期と符合する。
レビューの載った翌朝のニューヨーク・ポストの一面も
JAPANのネイビーがどうのこうのだったんじゃないかな。
アニメ「この世界の片隅に」のすずが結婚したのが1944年。
年末に呉の家を訪ねてきた哲がそれまで乗っていたのが
そのレイテ沖海戦で大破して帰還した重巡洋艦「青葉」だった。
空襲が始まってすずたちが草や水増し飯を食べている頃
ニューヨークの満員のカーネギーホールで
大金持ちのお婆さんが背中に羽根付けて歌ってた。
彼女のレコードはCD化もされている。
廃盤にもならずに今でも買う人がいるらしい。
https://www.sonymusicshop.jp/
★実際の歌声⇒
モーツァルト「魔笛」より「夜の女王のアリア」
https://www.youtube.com/watch?
こうして実現させた夢に満足したのかフローレンスは
カーネギーホールの1ヶ月後にホテルで亡くなってる。