Quantcast
Channel: レッツゴー!元日本洋楽研究会
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2743

「ビートルズと日本 熱狂の記録」

$
0
0

ビートルズ来日50周年なのだそうだ

「ビートルズと日本」 熱狂の記録 大村亨 3月31日発売


本のキャッチコピーはこうある

新聞、テレビ、ラジオが伝えた「ビートルズ現象」のすべて
新聞100年分
週刊誌6400冊
総計182万ページを分析した
驚異の研究本登場

新聞14紙(朝日、読売、毎日、東京、報知、日刊スポーツ、サンケイスポーツ、デイリースポーツ、スポーツニッポン、東京中日スポーツなど)、テレビ番組、ラジオ番組、週刊誌18誌(文春、新潮、朝日、女性自身、プレイボーイ、アサヒ芸芸能など)、音楽専門誌5誌(ミュージック・ライフ、ティーンビート、ヤングミュージックなど)をすべて把握しており、それらを元に当時の“記録"を可能な限り洗い出して時系列にまとめ、詳細な「ビートルズと日本」の歩みを1冊の本にすることに成功。


日本国内でのビートルズに関する報道を時系列でまとめている。
アーティストや音楽そのものではなく
冷静にアーティストが生んだ「現象」だけに焦点を当てる。

ビートルズ本は数多いけれど
<日本でのビートルズ>をここまで網羅分析した本はかつてない。

メディアによって異なる報道内容。
この本によれば例えば1966年の来日時間も

6月28日
3時39分 朝日新聞、報知新聞、デイリー・スポーツ、週刊女性、他
3時40分 読売新聞、サンケイスポーツ、週刊現代、ヤングレディ、他
3時44分 スポーツニッポン、週刊文春、サンデー毎日、女性自身、他

いいじゃん28日未明で、とも思うが、記事を調べるのは大変だ。
国会図書館に足を運んでの作業は相当アナログだったことだろう。
収録されている数百のエピソードの中には

7月1日
昼の部の終演近く女子高生3人組が息せき切って場内に飛び込んできた。
しかしその途端に終了。(中略)「何とかしてください」「ダメです」
(中略)「それじゃあまりにかわいそうだ」(中略)
とうとう主催者側が折れ「じゃうしろから立ち見でもしなさい」

7月1日時刻不明(19時30分頃?)
武道館に同じ座席の券が27枚もあって見られないで泣いていたファンがいた。

など、公演当日の分刻みドキュメンタリーがある一方で

5月16日
(ビートルズ景気で好景気高配当の)
東芝音工本社玄関外壁にネオン灯が設置され点灯を始める。
ネオンは”Toshiba”のロゴをかたどったもので(中略)装美社が製作。
(中略)ネオンの色は久野元治同社会長の希望によりライトブルーが選ばれた

なんてのもある。

ネットでいくら検索してもこういう情報は集まらない。
引用の仕方が専門書というより、卒業論文みたいだ。

私は田舎の前橋で一番最初にビートルズを買った男だと勝手に思っている。
(店員も知らない時にLPを予約したんだからと)
そして一番最初にビートルズに飽きた男だとの自覚もある。

1964年と65年、やかましいロックンロールでカバー曲もカッコ良くて
ルックスもアイドルのビートルズを女の子ファンのように好きだった私は
「ラバーソウル」あたりから疑問符が付き始め
66年には7月のビートルズ来日よりも6月のフランス・ギャルが大事だった。

そんな私でもこの本の価値はわかる。
1970年までの日本国内でのビートルズ現象の変遷史だから
<日本洋楽>愛好者としてはこんなに嬉しいことはない。

それにしても、この大村亨っていう人はどこまで変態なんだろうと
個人的にすごく興味の湧いた本だった。

今日は現象の話だから、聴くのはこれだ。
漣健児さんはビートルズの出現によって訳詞家をやめたと聞く。

東京ビートルズ「抱きしめたい」(1964年)


Viewing all articles
Browse latest Browse all 2743

Trending Articles