「レッキング・クルー」「アーサー・フォーゲル」と続いた
ユニークな音楽ドキュメンタリー映画の、次はこれだ。
映画「Song Of Lahore」
今夏に「ユーロスペース」他で全国公開予定の映画試写会。
このドキュメンタリーを構成するのは以下のキーワード
「パキスタン」「イスラム」「テイク・ファイブ」
「ウィントン・マルサリス」「ジャズ・アット・リンカーン・センター」
私はこのへんどうも苦手なので実はそれほど期待せずに観た、
ら、これがとんでもなくいいのよね~。
かつて映画、音楽、芸術の都だったパキスタンのラホール。
ところが1977年の軍事政権のイスラム政教一致政策で
音楽は肩身の狭い立場に置かれることになり
さらにタリバンの芸術破壊によって
もはや瀕死状態だった伝統音楽を守ろうと
ミュージシャンたちが立ち上がる。
彼らがyoutubeにアップした「テイク・ファイブ」は
100万回以上のアクセス、BBCニュースに取り上げられ
その噂を聞いたウィントン・マルサリスが競演の声をかける。
これ、、公開されたら、恐らく観た人全員が
「音楽の力ってすごい」って評を書くと思う。
へそ曲がりの私はそういう時は大体
「冗談じゃねえよ、わかったような口きくんじゃねーよ」と
悪たれるものだが、これは実際その通りでそのまんま、
「確かに音楽ってすげーわい」としか言うしかない。
殊にジャズだと言葉がない分、言語や楽譜を超えるからねえ。
ハイライトはリハーサルから本番に至るまでの流れ。
ステージの裏側も多少知ってる人間にはドキドキもんです。
あまり書いちゃうとネタバレになるからこのへんにしとくとして
ウィントン・マルサリスの仕切りがまたカッコいいんですのよ。
そもそも私はシタールが嫌いで、
ジョージ・ハリスンが弾いてもラヴィ・シャンカールもダメで、
それが理由で関係ないノラ・ジョーンズまで良く聴かなかった。
ところがこの映画じゃシタール応援ですよ。
「大丈夫か、おい。間に合うのか、おい。」と、ハラハラもん。
バンスリって言うのかな、横笛もすごい。
音楽業界の方、公開されたら絶対に観るべき映画です。
決してアーサー・フォーゲルは手掛けないライブだけどね。
敢えて比べるなら「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」でしょうか。
「ジャズ・アンバサダー」という言葉が何回か出てくる。
冷戦下のアメリカの音楽によるプロパガンダを指すらしい。
この場合はジャズが政治に利用されていることになるが
それが「テイク・ファイブ」につながるのだから、微妙だ。
でもここでは差し障りなく<音楽は政治を超える>とでも
結論づけておこうか。
いや結論は、≪マジ、いい音楽映画だった≫だな。