kndleが戻ってきたのでまた読み続けるのは
吉川英治「新書太閤記」です。
中里介山の「大菩薩峠」を20巻くらいで挫折し
中里介山の「大菩薩峠」を20巻くらいで挫折し
今年は以来ずっと吉川英治モノを読んでいます。
吉川英治は「宮本武蔵」しか読んでいなかった私が
「三国志」「私本太平記」「新・水滸伝」を読み
もうすぐこの「新書太閤記」も終わるので
既に40巻近くは読んだことになるでしょうか。
終わったら「新・平家物語」に移ろうかと思います。
これも激しく長そうですが。
現役の頃はこんな読み方はできませんでしたから
まさに晴耕雨読です。
そしてこの吉川英治で、私はこの歳になって
初めて知った事実があります。
吉川英治ってすさまじい「美文メーカー」でした。
こんなに美しい文章を書く作家だったんだーと
恥ずかしながらの告白です。
太閤記なんていう誰もが知っている苔むした話でも
腕のある人が書けばこんな感動作になる典型です。
文字だけなのに思わずジーンと感動したりして、
***
元春は面をそむけた。
超然と中国の夜空を仰いで、落涙しかける瞼を抑えた。
一毛利家の家憲の下に在らざるを得ない
遣り場なき武魂は声なく哭いていた。
しかも彼は齢はすでに晩節近き五十三であった。
***
この頃となっても、夜はまだ明け切っていなかった。
ただ、目のまえの伊吹山の線が
ほのかな暁紅と薄浅黄の空にはっきり浮き出して見え、
耳に小禽の声が聞かれて来たにすぎない。
道の霧はふかく、そして樹の下は暗かった。
***
歳月は人間を対象として流れてはいない。
が、人は往々、歳月をあてにして歩む。
あだかもいつも歳月は味方のような片思いを抱いて。
雲無心。歳月の光輪響輪もまた、大虚の車に過ぎない。
***
くーっ!カッコいい!!
「歳月の光輪響輪もまた、大虚の車に過ぎない。」
どーいう意味?!何だかわからないけど
格調の高い日本語にゾクゾクしちゃいます。
そう言えば「ネットフリックス」はその後どうなってる?