「ヴィンセントが教えてくれたこと」
これはきっと万人が認める<いい映画>なんだと思う。
お金もなく偏屈で頑固でひねくれまくってる一人住まいの
ジジイの隣の家に、離婚係争中の太っちょの母親と
ひ弱な息子の2人が引っ越してくる。
こんなジジイが隣にいたらたまらんと思うんだけど
<偏屈な老人と純真な少年>
という、映画にはよくありそうな設定で
という、映画にはよくありそうな設定で
しかもよくありそうな展開を見せる。
ひ弱な少年はジジイにケンカの仕方を教えられたり
競馬場やらバーに連れまわされたりする。
周りはそういうのを認めない。
でもいつの間にか2人の間には理解と信頼と愛情が芽生える。
ジジイはジジイでつらいエピソードを秘している、みたいな。
そう、これは心あたたまる「いいお話」なのだ。
でも、私もジジイ並みのひねくれ老人なので、
たとえジジイの憎まれ口に思わずクスッとしたとしても
ミエミエの演出に少しジーンとしちゃったとしても
そのまま<いい映画だった>とは言いたくないんだな。
へそ曲がりなのよ。
ただ、この場面がすごく良かったのだ。
脳こうそくを克服したばかりビル・マーレイ演じるヴィンセントが
植木鉢の底に隠してるタバコをこっそり吸う。
植木鉢の底に隠してるタバコをこっそり吸う。
ガール・フレンドのナオミ・ワッツに煙を感知されて叱られる。
ヴィンセントは電子タバコに替えて植木鉢に水をかける。
素直なジジイになりかけている。
素直なジジイになりかけている。
古いウォークマンを聴きながら口ずさんでいるのは
ボブ・ディランの1975年のアルバム「血の轍」から
「嵐からのかくれ場所(Shelter From The Storm)」