1970年頃に行っていた<ロック喫茶>は
湯川先生のお弟子さんの和田静香さんが上梓した
新宿厚生年金会館前の「ソウルイート」だった。
渋谷の「プリンス」ではリクエストを出してた。
<ロックバー>という発想は
当時はなかったんじゃないだろうか。
就職してからの麻布材木町「スピーク・ロウ」、
霞町「トミーズ・ハウス」、新宿「ツバキハウス」、
80年代の「レッドシューズ」なんかが
<ロックバー>と言えたのかどうかはともかく
それは仕事だったから、少なくとも自分の楽しみや
趣味で行ってたわけじゃない。
リタイアしてから
個人的にも<ロックバー>に行けるようになったのは
音楽が<道楽>になったからかもしれない。
これと言った馴染み店は特になく、新宿、四ツ谷、恵比寿、
渋谷、下北、その時一緒にいる友人とノリで入る。
どこにも酔っ払いおやじの嬉しそうな顔が並んでいる。
小難しいロック談義はなく、知識も必要ない。
「次にもしあればアレかけて」みたいな。
<楽しいから何にも問題ない>のがロックバーなんだけど
<楽しくて問題ない居酒屋>と違うのは
オーナー個人のロックに対する<想い>や<主張>が
その店の壁面や椅子やグラスやコースターや小物にまで
込められているところで
いわば店はオーナーの部屋みたいなものだ。
だからもし質問しようものなら、語る、語る。
(もちろん聞きたくなければ問わなければいい)
その人の人生にロックがどんな影響を与えてきたか
私は聞くのが楽しいと言うより、嬉しい。
湯川先生のお弟子さんの和田静香さんが上梓した
「東京ロックバー物語」では
そういうロックバー・オーナーのロック人生が語られている。
音楽を評論する対象としてでなく共に生きてきた人の証言なので
生活のリアリティがある。
「飲み屋のオヤジはハゲたらダメだ」なんて笑いもある。
「イート・ア・ピーチ」「ローリング・ストーン」「BYG」など
老舗店の話もあるが、私はどちらかというと
まだオープン数年の、これからという店を応援したい。
老舗店の話もあるが、私はどちらかというと
まだオープン数年の、これからという店を応援したい。
でも新旧人共に、写真の笑顔がいい。
きっと<ロック>のおかげと思う。