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Channel: レッツゴー!元日本洋楽研究会
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「田舎でロックンロール」奥田英朗

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私にとってこの本はまさに

「奥田英朗のパーイレーツロック」だった。


直木賞作家である氏の中学高校時代の
「洋楽体験」が活き活きと軽妙な文章で綴られ、さすが。

時代は1972年からの6年間、岐阜県の小さな町、
中1で買ったラジオから流れてきた
「愛するハーモニー」「木枯らしの少女」に始まり
ザ・バンド、ライ・クーダーに至る成長(?)過程で
「オクダ少年」が出会ったロックの数々と
多くのエピソードがノンフィクション小説になっている。
あっという間に読み終えて(あ~~面白かった)となる。

クラスにはほとんどいなかった洋楽ファン。
岐阜放送のラジオ番組へのリクエストはがき。
ヤングミュージックショーのELPでロック映像初体験
MLのレコード評の☆の数に悶絶
初めてTレックスを聴いた時の衝撃
ディープパープル「ライヴ・イン・ジャパン」が一番だった
LPを買うために学費を回してしまったこと、
高校を抜け出して映画館に行ってたこと、煙草吸ってたこと
渋谷陽一の「ヤングジョッキー」をエアチェックしてた
クイーンのステージに突進した

とにかく何かを初体験するたびにオクダ少年は
「うぉーっ。」「うぉーっ。うぉーっ。」と絶叫する

もう中学生の「オクダ少年」が可愛くてたまらない。
奥田英朗は当時の「オクダ少年」のことをこう書いている

「洋画と洋楽とジーンズがかけがいのないものだった。
自由でいたい、人のやらないことをやってみたい、
体制とは反対側にいたい、
少数派でいたい、
みなが右を向いているときは左を向きたい・・・
・・。
天邪鬼と言われれば、ハイその通りですと答えるしかない」

自分の中学時代と重ね合わせて痛く同感。

「私は東京の番町・麹町に生まれたかった」

これもよくわかる。
田舎の中学生がロックを聴き海外に憧れ
早くここを抜け出して東京にそして海外に向かいたい
そういう切ない少年の心情は
10才年上の私でも同じだったから。

さすがに映画化や映像化は不可能だろう。
奥田さんって「パイレーツロック」に出てくれないかなあ?
いや、それより古賀さん
「パイレーツロック」スペシャルみたいな番組で
4時間くらいのラジオドラマ化はどうすかねえ?
2015年、FM Cocolo設立○周年みたいなタイミングでもいいし。
イマドキですよ、ラジオ・ドラマ。


今日の曲は、オクダ少年が初めて聴いて
<大袈裟ではなく雷に打たれたような衝撃>を受け
「うぉーっ。うぉーっ。」と叫んだこの曲

Tレックス「メタル・グルー」1972年



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