今の家に引っ越して20年になる。
開発の波から取り残されたような町も
20年も経てば変わる。
近所の梅林はほとんど伐採され戸建て住宅となり、
桜並木は歳をとり過ぎたのか病気か害虫か、
太い枝の切り跡が痛々しい。
太い枝の切り跡が痛々しい。
美味しかった焼肉屋はとうの昔に移転してなくなり
3月31日には駅の近くから最後の本屋が消えた。
電車のダイヤ改正で開かずの踏切りは更にひどくなった。
一方では保育園ができ、時々園児たちが前の公園に
散歩に来て遊ぶ声が安らぎにもなっている。
駅前の老舗のジャズ・レストランに続くように
最近(何故こんなところに)ライブハウスができたし
大手のスポーツクラブが閉まった代わりに
クライミング・ジムができてそこは結構賑わっている。
そういう変化の全部を受け入れてこの町には満足している。
だから駅周辺再開発の署名運動にはサインしていない。
自然にしていればいい。
自然にしていればいい。
昨年、住宅街のど真ん中の暗く細い道を曲がった先に
カフェができた。
道路側に貼ってある小さなメニューを気にしながら
通り過ぎる人は多いがなかなか入りにくい。
ギャラリー&カフェ「ウェアハウス・ガーデン」
アートとカフェ。
ランチからずっと営業、5時からはバー・タイム。
ミュージックマガジン社の浅野さんとここで待ち合わせた。
この夜の客は我々2人だけ、
展示されたアートの中でまったく浮いている。
展示されたアートの中でまったく浮いている。
昼間の女子会用のお店と思われる。
ワインボトルもらってでかい声で話す。
ポールだクラプトンだストーンズだベックだ。
「パイレーツロック」だ「ラジコ」だ「洋楽マン列伝」だ。
篠崎さんだ、山田だ、三好だ。
篠崎さんだ、山田だ、三好だ。
しらすとワサビのピザが見た目よりずっとうまくて
つまみには最適だったのだが
居酒屋替わりのオジサン2人はここには似合わない。
それでも普通にワインを頼めるお店の出現は
20年間住んできて初めてなので
この変化は喜ばしいからできれば長続きして欲しい。
この変化は喜ばしいからできれば長続きして欲しい。
ならば夜は「バータイム」という遠慮した表現より
「ディナー・タイム」にした方がいいかもしれない。
充分に美味しい。
充分に美味しい。