Quantcast
Channel: レッツゴー!元日本洋楽研究会
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2743

映画「オース!バタヤン」

$
0
0

正直なところ、自分のタイプじゃなさそうな映画なので
試写会は前日まで行こうかどうしようか迷っていた。
それでも「シュガーマン」の例もあるからと行ってみた。

2006年に大阪の北鶴橋小学校の体育館で行われた
コンサートを縦軸に、色々な人の証言で構成したドキュメンタリー。
浜村淳が司会。
当初微妙に映像と音声がシンクロしていない部分もあったせいで
すぐに「参ったな~」と反省モードだった私だ。

そもそも子どもの頃TVで知ってはいたけど好きではなかった。
むしろマドロスさんみたいな変なファッションとビブラートが嫌いだった。

ところが映画が進むにつれて徐々に引き込まれ、笑ってしまい、
帰りには偶然隣の椅子で見ていた北沢さんに
「いやいや、面白かったですね~」と話しかけていた。

「オース!バタヤン」


田端義夫、1919年生まれ、今年94才。
デビューが1938年というから戦前、戦中、戦後の歌手。

加山雄三より遥か大昔からエレキを弾きながら歌っていた。
そのエレキ・ギター(電気ギター)は
National Solid Body Electric Spanish(No.1124)という。


デビュー以来60年間以上同じギターを使い続けている。
そのボロボロさ加減といったらない。


エレキなのにピックを使わず指で弾くので
ああいうポーズになったんじゃないかとは寺内タケシの証言

10人兄弟の9番目、極貧の家庭に育ち
弁当のない昼休みは校庭で時間をつぶした。
保険もなく治療を受けられずトラホームで右目を失明。
しかし丁稚奉公のかたわらオーディションに合格して
すぐに「島の船歌」
「大利根月夜」のヒットを出す。

戦後は1946年、復員船を歌った「かえり船」
1962年「島育ち」のヒットで翌年紅白歌合戦に初出場。

4回目の結婚相手の奥さんに「私の名前を言える?」と聞かれ
「間違えると困るから」と答えなかったくらい無類の女好き。

昔の映像と合わせた時に歌のキーが今も同じであることに驚く。
予想だにせぬ「赤とんぼ」と「浜千鳥」が、いい。

立川談志、白木みのる、寺内タケシ、菅原都々子
などに混じって北中正和さんの証言もある。

映画を観終えても、この人の歌を劇的に好きになるということは
なかったのだが、好きな人の気持ちが初めてわかった気がする。

縁側に座ってただニコニコしてるだけのお爺ちゃんじゃなくて、
下ネタ連発で歌いまくってるこういう老人を見ると、元気になれる。
こんなジジイになりたいものだと先行きの希望もわく。

「戦争だけはイカン」と繰り返すつぶやきが残る。
5月18日からテアトル新宿にて公開


「かえり船」





.


Viewing all articles
Browse latest Browse all 2743

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>