先日NYで撮った古い写真を見つけ
ジャニス・イアンのアルバム「奇跡の街」を思い出すと同時に
昨年亡くなられたTVプロデューサー堀川とんこうさんを思った。
150本以上のテレビドラマをプロデュース、演出した中での代表作は
「岸辺のアルバム」「グッドバイ・ママ」「
このうちの2本にジャニス・イアンでかかわれた私にとって堀川さん
いつかはそんな恩人のお墓参りに行かなければ義理が立たないと思
今の私では外出もままならずあっという間に一周忌が過ぎた。
「随筆春秋」という同人誌のサイトで知ったのだが
一周忌の今年、堀川さんの誕生日の5月24日に、
奥様が遺稿句集「ひるの月」を上梓された。
俳句を詠んでらしたとはついぞ聞いたことがなかった。
紹介されていた中ではこれが優しく微笑ましくて私は好きだ。
「老妻の 春着にさがす ほめ言葉」
また、亡くなるまで「春に撃たれて」
未完のまま亡くなられた堀川さんの書く小説は
一体どんな設定のどんなストーリーだったのか気になる。
「春に撃たれて」か、、テーマは決まってたということだな。
私は今までに何回も堀川さんについてブログを書いてきた。
最初の出会いについては2014年の
「ずっとドラマをつくってきた男、堀川とんこう特集」に書いた。
https://ameblo.jp/nihonyogaku/
これはCS-TBSが堀川さん特集で「グッドバイ・ママ」の
全11話を放送した時のものだ。
この特集のタイトルは堀川さんの自伝的著書
「ずっとドラマを作ってきた」(1998年)にかけている。
これは、最近ほとんどの本を処分した今も残してある。
処分できようはずがない。
本は堀川さんの送別会のシーンから始まり
時系列的に回想が展開され、送別会に戻って終わる。
群馬県の中之条出身、高崎高校、学生時代は県人会の学生寮。
アメリカ文学を専攻し卒論はジャック・ケルアックの「路上」。
1961年入社、2年間で90本のドラマのAD。
1965年にディレクターデビュー。
1970年には音楽バラエティ「あなたとジュリー」も手掛け。
1976年、初プロデュースとなるドラマが「グッドバイ・
日本を代表するドラマ・プロデューサーがこうして39才で誕生した。
「グッドバイ・ママ」の主題歌について堀川さんは本の中でこんな風に書いている。
「世間に向かって新しいドラマの登場を告げるような音楽が必要だ
英語の歌を主題歌にした例はなかった。テレビドラマの主題歌が
歌のプロモーションの場としてにわかに脚
翌年の「岸辺のアルバム」の主題歌についてはこうだ。
「かなり血なまぐさい内容の歌詞を少し吐き捨てるように、
しかし抑制をきかせてジャニスは熱唱している。
『ラブ・イズ・ブラインド』以上にいい。
この選曲だけは自慢していいかもしれない」
堀川さんは知的で、物静かで、傲慢さのかけらもない、
謙虚で、品格が香り立つような紳士だった。
一回りも年下の私を「野中さん」と呼んだ、
決して芸能界のプロデューサーの「野中チャン」ではなかった。
さらに真摯で情熱的で、時間を忘れてディテールにこだわる
正真正銘の「匠」だった。
私はそんな堀川さんが体にまとっている「空気」に憧れ
面倒な著作権絡みの打ち合わせもルンルン気分で行ったものだ。
本当にカッコよかったのだ。
こんな空気はちょっとやそっとで醸し出せるもんじゃない。
それは音楽とドラマの制作の違いかと思ったりもしたが
今ではやっぱり人間の違いなのだとわかっている。
「堀川さんもジャニスも私も同じ5月生まれですね」
なんて話からプライベートでもお世話になるようになり
何回も食事させて頂き、ご自宅にもお邪魔した。
堀川さんの出身地は私の母が生まれた地でもあった。
高崎高校は隣町の私の前橋高校のライバル校だった。
大学は、、堀川さんが東大に行っちゃったら追いつけない。
私が学生時代にTBSでアルバイトをしていたことから
TBSに就職したかったのに優の数が8個じゃ
入社試験すら受けられませんでしたという話をしたら
「それはうちの会社がおかしい」と憤慨されていた。
余談で、前にも書いたのだが「グッドバイ・ママ」の時に
「野中さん、コインランドリーの学生客のエキストラで出てみる?」
と言われ断ったのが、今となっては(失敗したなー)と思う。
そんな恩人の方の墓参はいつ叶うのか。
正直、まだまったく見えない。
堀川さんがらみの音楽ではジャニスの「ラブ・イズ・ブラインド」も
「ウィル・ユー・ダンス」ももう何回も聴いたので
今日は「モモ子シリーズ」からこの曲にする。
「モモ子のテーマ曲」だった(らしい)。
それはピッグバッグというイギリスのジャズ・ファンク・バンドのヒット曲、
バンドや曲がどうのこうのと語るよりも、
堀川さんって、一体どこまで幅広く音楽を聴いていたのか、と思う。
"Papa's Got a Brand New Pigbag" Pigbag (1981年)
https://www.youtube.com/watch?