非公認のCBSソニーOB分科会。
いわば「石井組」
渋谷はいつもの「ごまや」で5時から90分飲み放題。
客は我々のみ。
平均年齢70才に近い老人クラブは
ただやかましく騒いで飲んで笑う宴だ。
この日は同僚だった友人の訃報があり
メンバーの病状の報告があり
重い空気が漂い始めるとすかさず誰かの声が飛ぶ。
「下向いててもしゃーあんめー」
そしていつもの宴会話に戻る。
このメンバーの間には表面的な作法や形式や
同情や慰めの表情や言葉がない。
世間的な良識と常識に照らせば
この人たちの言動は著しく非常識なものと思う。
「だってもう、そういうのいいだろう。みんな同じだよ」
現役ゴルフ組4人、ゴルフしない組3人
救急車で運ばれたことのある者4人
現在通院中3人、薬が手放せないのは3人
ほとんどが体のどこかに爆弾を抱えている。
「もう楽しく過ごせればいい」と石井ちゃん。
「現役の時からずっとそうじゃん」と全員がツッこむ。
「最近職業欄に無職って書くのが平気になった」
「へーちゃんは写真家って名刺があるからいいよ」
「今のうちにへーちゃんにみんなの遺影撮っといてもらおう」
本当のやさしさのこもった非常識な90分の会話の後で
一人だと陰鬱になりそうなA君がぼそっと言う。
「ここに来ると気が楽になるんだよなー」
この会、音楽の話はまったく出ないので今日は何も聴かない。