映画「シング・ストリート」
でも最初に否定的なことを言うならば
予告編
コナー君のビジュアルが変化していくんだけど
クスクス笑える場面も多い。
兄はドイツに行きたかった、母はスペインに行きたかった。
私には可愛くてたまらない映画だった。
でも最初に否定的なことを言うならば
薄くてシンプルでひねりもなくすぐ考えつきそうなストーリー、
チープな青春恋愛映画で、まるで長編のビデオクリップみたい。
ダサいタイトルからして邦題かと思ったら原題だったくらい。
1985年、アイルランドのダブリン。
不況で父親が失業、両親の喧嘩が絶えず家庭は崩壊寸前。
私立から荒れた公立の学校に転校させられた主人公コナー少年は、
音楽好きの兄と「トップ・オブ・ザ・ポップス」を見るのだけが楽しみ。
ある日学校帰りに見かけたラフィナに一目惚れしたコナーが
彼女に声をかける。
「僕のバンドのビデオクリップに出ない?」
そこから慌ててバンドを組み、練習と曲つくりの日々が始まる。
予告編
ジョン・カーニー、不思議な監督だと思う。
こんなストーリーであんな俳優たちで
たぶん映画祭とかは無縁だろう小品が
なぜこんなにもほのぼのとさせてくれるのか。
確かに「ダブリンの街角で」は秀作だったけれど
2作目の「はじまりのうた」は単館からヒットしたくらい
つまり期待はされていなかった。
それなのに、それが妙に可愛いくてたまらない。
ジョン・カーニーが音楽好きなのがよくわかるからかもしれない。
もちろん音楽映画とは言っても<青春恋愛映画>なので
80年代のポップスを知らなくたって楽しめる。
でも知ってたらその10倍楽しめる。
いきなりデュラン・デュランの「リオ」のクリップから始まる。
(てか、コナー君はジョン・テイラーに憧れている)
続いてクラッシュの「アイ・フォート・ザ・ロウ」がかかる。
a-haの「テイク・オン・ミー」が流れる。
音楽好きな兄が口にするのはディペッシュ・モード、ジョイ・ディビジョン
ピストルズだJAMだアダム・アントだ、で
笑えるセリフは
「ジェネシス(フィル・コリンズ)なんか聴いてる男に女は惚れない」
そして「これが”ハッピー・サッド”だ」とキュアーのアルバムを投げる。
コナー君のビジュアルが変化していくんだけど
それでも当時の少年は精いっぱい頑張ってもここまでだった
みたいな垢ぬけなさのように、
クスクス笑える場面も多い。
でも、洋楽知らない人は<アイルランド版「青春デンデケデケデケ」>
と思ええばいいかも。
兄はドイツに行きたかった、母はスペインに行きたかった。
そういう家族を後にイギリスに向かうコナー君。
イギリスのEU離脱で逆にアイルランドのパスポート申請が増えてる
なんてニュースを思い出したりした私だった。
兄弟がTVで見ていたのがこのクリップ
「リオ」デュラン・デュラン